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太陽光発電システム(その1) 1.太陽エネルギー 1年間に地球全体に降り注ぐ太陽エネルギー量の大きさは、およそ9.5×1020kcal(キロカロリー)であり、この量の大きさは、全世界で1年間に消費されるエネルギー量の1万倍以上に相当します。 風力エネルギーや水力エネルギーなどの他の自然エネルギー源は、ほとんどすべてがこの太陽エネルギーを元にして生み出されているエネルギー源です。 2.太陽電池 太陽電池は、性質の異なったP型とN型と呼ばれる半導体物質を張り合わせた薄い板型の構造で、ソーラーパネルとも呼ばれています。太陽電池の表面に光を当てると、これら半導体間に起電力が生じて電流が流れる特性を利用した発電機で、一般名称として日本語では太陽「電池」と呼ばれているものの、その実態は発電機であって、電池のように電力を蓄えておく機能はありません。 太陽電池は、稼動部分が全く無いため、長期にわたってメンテナンスが不要で、耐久性も高く寿命が非常に長いのが特徴です(太陽電池としての性能保証期間は20年間)。 従来、太陽電池は非常に高価なものであり、ごく限られた特殊な用途(宇宙船や学術研究など)にのみ用いられてきましたが、ここ10年来、製造コストが大きく下がり、特にここ数年の間に、国の積極的な補助金政策により太陽電池の普及と量産化が進み、日本は世界一の太陽電池生産国となり、普及価格帯も大きく下がってきています。 太陽の光が地上に降り注ぐ際のエネルギー密度は、晴天時で1平方メートルあたり約1kW(キロワット)程度であり、太陽電池のエネルギー変換効率は、大雑把に言いますと10~15%程度であることから、太陽電池1平方メートルあたり、およそ100~150W(ワット)程度の発電量が得られます(晴天時)。 日本国内での平均的な有効日射時間は、1日あたり3~4時間程度であることから、理想的な発電が可能であるとした場合、1平方メートルあたりの太陽電池は、1日あたり300~450W/day(ワット/日)程度の発電量を期待することが出来ます。ただし、太陽電池の表面の汚れや設置角度、電柱や電線などの日影の影響、送電ロス、バッテリーへの充放電ロス、インバーターの電力変換効率などの様々な要因により、実際に利用可能な電力量は、その半分くらいになりますので、これらのことを事前に知っておかなければなりません。 3.太陽光発電の特徴 太陽の光が得られる場所であれば、太陽電池によりどこでも発電が可能です。日本国内に限ってみますと、国内における標準的な有効日射時間は、一日あたり、およそ3~4時間程度であり、この数値は、太陽電池を利用した実用的な発電が十分に期待できることを意味しています。 太陽光発電は、風力などの他の自然エネルギーを利用した発電と比較して、地域格差や季節変動が比較的小さく誰でも導入しやすい発電システムです。 また発電出来る状況が、晴天時の日中のみに限られるというのも大きな特徴で、夜間の発電量はゼロであり、明るい曇天時はごくわずかに発電するものの、厚い雲に覆われた曇天時や暗い降雨時、降雪時などでも、発電量は、ほぼゼロとなります。 従って、期待通りの発電が出来るのは、日中の晴天時のみとして扱います。 |
太陽光発電システム(その2) 4.太陽光発電システムの構成 太陽光発電システムの一般的な機器構成は、大きく分けて、独立電源型と系統連係型の2種類がありますので、それぞれについてご紹介します。 ◆代表的な独立電源システム 発電した電力をそのまま自家消費し、外部、すなわち商用電力からの電力補給を受けずに運用する自給自足的な運用方法で、商用電力と電気的な接続を持たないことから「独立電源システム」と呼ばれるシステム運用形態です。 発電している時間帯と電力を消費する時間帯に時差がある場合が多いので、独立電源システムの多くは、バッテリー(蓄電池)を備えており、発電した電力をいったんバッテリーに蓄電して、必要に応じてバッテリーから放電して電力を使う形態となっています。 小規模なものから大規模なものまで多種多様であり、小さなものとしては太陽電池を利用した電卓や時計なども独立電源システムを利用した機器のひとつと呼べるでしょうし、大規模なものとしては、商用電源の無い無電源地帯における山小屋や別荘、研究設備や防災設備などの電源としても用いられています。商用電源とは無関係ですので、災害などで商用電源が停電した際にも独立して運用できます。 (1)チャージコントローラー バッテリーの過充電防止のために、太陽電池とバッテリーの間にチャージコントローラーと呼ばれる充電制御装置を配置します。現在のチャージコントローラーは、PWM制御方式を採用しており、バッテリーの充電状態(すなわちバッテリー電圧)に合わせて、充電回路を高周波で断続的にON-OFFして、充電される電流量を調節しています。 チャージコントローラーは、使用する太陽電池の最大動作時電流値を満たす容量のものを選定します。 効率的なバッテリー充電には、周囲温度による充電電圧の補正が必要で、各メーカーのチャージコントローラーには、温度補償機能が標準で、あるいはオプションパーツとして提供されています。 (2)バッテリー ディープサイクルバッテリーを使用することを推奨しております。バッテリー容量の目安としては、太陽電池の最大動作時電流の10~20時間分くらいがお勧めで、例えば、使用する太陽電池の最大動作時電流が5A(アンペア)である場合には、50~100Ah(アンペア・アワー)程度のバッテリー容量を確保しておくと良いでしょう。 (3)DC-ACインバーター バッテリーは、直流電源ですので、負荷として交流機器を使用する場合には、DC-ACインバーターによって、直流(DC)を交流(AC)に変換します。 バッテリー電圧に適合した直流用負荷を使う場合には、DC-ACインバーターは不要です。現在では、カー用品などとして、数多くの直流負荷製品が利用できますので、事前に検討しておくと良いでしょう。 ◆代表的な系統連係システム 発電システムが商用電力と電気的に接続されており、発電した電力は自家消費するとともに、もし電力が不足する場合には、通常通り電力会社から電力を購入する運用形態で、 電力会社の電力系統に接続した運用方法であることから「系統連係システム」と呼ばれています。 また、発電して消費しきれずに余った電力を電力会社に売却(売電)することを逆潮流と呼び、特に売電が可能な系統連係システムのことを「逆潮流有り系統連係システム」と呼んでいます。必要に応じて商用電源と電力をやりとりしますので、バッテリーを備える必要が無いのが特徴です。 ここ数年、住宅用太陽光発電システムとして広く認知され普及が進んでいるのが、この「逆潮流有り系統連係システム」です。商用電源との連係システムですので、災害時などの停電には弱く、このためバッテリーをバックアップ電源として併用し、独立電源のメリットを取り入れたシステムも注目されるようになってきました。 ◆ノースパワーより 太陽光発電による住宅用系統連係システムにつきましては、弊社では事業対象としておりません。 日本各地に施工業者がありますので、地元の各電気工事会社や販売店などに、ご相談ください。 |
太陽光発電システム(その3) 5.太陽電池(ソーラーパネル)の設置方向と角度 太陽電池は、受光面に受ける日射量に応じて発電量が変化しますので、太陽電池面に対して、出来る限り直角に太陽光が当たるように設置することが理想です。 太陽電池を設置する方角は、(北半球においては)南向きに設置します。 太陽高度(水平線と太陽のなす角度)は、通年で変化し、夏季は高角度、冬季は低角度になりますので、季節に合わせて太陽電池の角度を変化させることが理想ですが、通常は固定設置となります。 太陽電池の設置角度の考え方(理想の設置角度の求め方)には2種類あり、ひとつは、年間の総発電量が最大となるような設置角度で、もう一つは、年間の最低発電量時(主に冬季間)の発電量が最大となるような角度です。 系統連係型の太陽光発電システムの場合は、年間の総発電量が最大となるような角度に太陽電池を設置します。この場合、通常は10~40度くらいの角度になり、この範囲内においてそれほど大きな差はありません。 通年運用する独立電源システムの場合は、システム全体の大きさ(太陽電池容量やバッテリー容量など)をもっとも発電量が低下するボトム期に合わせて設計しますので、年間の発電量が最低となるような時期に、もっとも発電量が多くなるように太陽電池を設置します。この場合は、30~60度の比較的高角度になります。特に高緯度地域や降雪地域では、冬季間の日射量がもっとも不足しがちになりますので、太陽高度の低い冬季間に合わせます。このため、太陽電池の設置角度は60度と高角度になります。(高角度で設置することで、積雪の影響を受けづらくなるメリットも得られます。) ただしこの考え方は、あくまでも事業用途等での実用電源システムの場合に適用される理屈であって、一般の方がパーソナルユース目的で太陽光発電システムを運用するような場合には、高緯度地域や降雪地域の場合であっても、それほどシビアに考える必要はありません。 太陽電池に傾斜をつけることで、汚れや堆積物を降雨時に洗い流す作用が得られますので、太陽電池を水平(0度)に設置することは避けた方が良いでしょう。 6.期待発電量と使用可能電力量 実際に太陽電池で発電できる電気の量は、太陽電池の設置方向や設置角度、設置する地域や季節、によって大きく変化しますので、発電量を正確に予想することは困難なことです。 事業向けの本格的な実用電源システムの場合には、各地域の実測日射量データを用いて期待発電量を求めますが、一般の方にはやや敷居が高い作業です。 そこで、ごく大雑把に簡略化した方法で、独立電源システムの場合の期待発電量を求めます。 まず前提として、太陽電池は南向き、水平角度30度程度に設置してあるものとします(ほぼ理想設置)。 日本国内における平均的な1日あたりの日射時間は、およそ3~4時間程度です。 次に太陽電池の性能表で、最大出力時動作電流の項目を参照し、太陽電池1枚利用の場合はその数値を複数枚並列に接続する場合は、合計した値を採用し、1日当たりの平均日射時間をかけ合わせると、1日あたりの平均的な発電量[Ah/day]を求めることが出来ます。 北海道および本州の日本海側のような降雪地地域の場合、冬季間の日射時間はぐっと小さくなり、1日あたりの平均日射時間は、1.5~2.5[h/day]程度になりますので、その点は予め考慮しておきます。 ただし、実際の太陽光発電では、上記計算のようなカタログスペック通りの発電を期待することが困難で、太陽電池表面の汚れや理想設置角度からのズレ、製品 の個体差、経年劣化など、様々な要因により発電量が低くなります。また、実際に「使用可能な電力量」となりますと、バッテリーの充・放電効率や、DC-ACインバーターの変換効率なども影響してきますので、さらに低い値となります。 上記のような理由から、最終的に(実際に)使用可能な電力量は、最大出力時動作電流[A]×平均日射時間[h/day]より求めた値の半分くらいになります。 例) 太陽電池NE70を1枚使用した場合について カタログより太陽電池「NE70-A1T」の最大出力時動作電流は4.43[A]であることから、この値に1日あたりの平均日射時間である3~4(時間)の数値を掛け合わせ、その数値を半分にします。 (すなわち最大出力時動作電流の値の1.5~2倍くらいの値になります。) よって、一日あたりの実際に利用可能な電力量は、およそ6.6~8.9[Ah/day]となることがわかります。 なお、事業用途向けの本格的な独立電源システムの計算につきましては、別項にてご紹介しておりますので、こちらのリンク先ページをご参照ください。 |